2018/02/15
「灯台下暗し」という言葉がある。
船橋に暮らして25年ほど経つのに、これまで船橋市場を巡ったことがなかった。正確には、市場内の駄菓子問屋には一度だけ行ったことがあるけれど、場内をいろいろと歩きまわったことはなかった。
7月上旬のとある日、そんな船橋市場へ朝ごはんを食べに行ったついでに色々と見てまわったら思いのほか楽しく、まさしく「灯台もと暗し」とはこういうことなのだと実感した。
美味しい、楽しい。どこか懐かしい船橋市場
船橋市場に着いたのは朝7時半。まずは朝ごはん。
カツオ刺身定食の文字に引き寄せられるように、田久保食堂というお店の暖簾をくぐる。
店内メニューの隅っこには「営業時間 午前3時半~午後2時半まで」と書かれていた。
市場の朝は早い。そんな市場内にある食堂も、本来はそこで働く人たちのための商いなのだろう。
そのような食堂でご飯を頂くことに、どことなく「部外者がスイマセン」的なことを感じつつも、同じ日常の一部分を味わうことができて嬉しくなってしまう。
炊事場から店主が「にんにくも入れるかい~?」なんて聞いてくれるのがまた嬉しいじゃありませんか。もちろん入れてもらいました。
それにしても鰹が克服できていると知った2021年の春以降、鰹を食べていない週はないんじゃないか?というくらい食べてます。
今年9月には本場の戻り鰹を食べに行く四国ツーリングなんていうものを漠然と検討しているけれど、食べ飽きちゃわないように気をつけます。
鰹定食を食べ終え、食堂エリアをぶらぶら歩いていると。
ん?
これは・・・
軒先に東京オリンピックの聖火リレートーチを飾っている食堂を発見。
これはレプリカとか、そういった類のものなのか?
それにしてはジュラルミンのようなケースに納められてもいるし、果たしてなんだろう。と眺めていると、大乃家食堂の若旦那さん登場。
このトーチは紛れもなくホンモノで、先日に千葉県松戸市内で行われた聖火リレーでも実際に使用したトーチとのこと。
大手保険会社、コカ・コーラ、あともう1社(教えてもらったけど忘れちゃいました)の3社が東京オリンピックのメインスポンサーであり、大乃家食堂の旦那さんは加入している保険会社の方から「聖火リレーの抽選に応募してみないか」との打診があったことから申し込み、みごと実現したようです。
そんな聖火リレーは松戸市の競技場内だけにとどまったイベントだったにも関わらず、オリンピック反対の方々から罵声を浴びせられるなかで催されたとか。
それでもオリンピックだけはやる前提で話を進めるのかーいとか、オリンピック開会まで2週間きっているタイミングであらためて緊急事態宣言を出すって、自分の貯金計画と同じくらい計画性ないでしょ!?
と、人それぞれ色々ツッコミどころもあるのではないでしょうか。
そんな賛否両論あったりする東京オリンピックだけども、とりあえず聖火リレートーチを持たせてもらったらなんかこう、気分が「くっ」とアガる自分がいた。
実際に持たせてもらっちゃいました。想像以上に軽くてビックリ。
いま振り返れば、もっと掲げて走っている風の恰好をして撮ってもらったらよかった・・・ということで、また近々行きたいと思う。
朝ごはんでお腹を満たしたあとは、市場内をぶらり。
けっこうなサイズのかつおが1パック390円。北海道で採れたぶりも380円。
ふたつ買っても800円ほどなので、迷わず購入。
コロナ禍での特別な事情があるのでしょうか。このあと駄菓子問屋に行ったら、駄菓子10円以上の購入で野菜お持ち帰り無料という催しがあり。
大きなビニール袋に人参、レタスやトマト、きゅうりに水菜と、とてもじゃないけれど消費しきれないくらいの生野菜をいただいた。
けっきょく鰹もぶりも、このぎゅうぎゅう詰め生野菜も、船橋市場から歩いて10分もかからない実家へ、そのままお届け。
そんな実家にて「いやぁ船橋市場、楽しいねえ」なんていう会話をきっかけに聞いたのだけれど、なんでも昔(60年ほど前?)は、場内もっと商いも来客も盛況で。特に年末はすし詰め状態で歩くだけでも大変だったのだとか。
この日の場内巡りを振り返ると、たしかに発泡スチロール置き場となっている区画がいくつもあったのが印象的でした。
それでも朝メシはウマい、偶然にも聖火リレートーチを握らせてもらうことができて。新鮮な魚もお手頃価格、なぜか野菜もたんまり持って帰り。
日常とちょっと違う、遠い場所への旅行はもちろん好きだ。
ただ、身近なところにもまだまだ色々な楽しさがあるのだとあらためて思った船橋市場めぐりなのでした。
そう、同じ週末に海老川沿いをぶらりと散歩したんだ。その時に見た、都内の向こうへ沈んでいく夕陽も綺麗だった。
決して壮観ではないけれど、気持ちの良い夕陽はいつだってその気(と天気次第)で、どこにいても観ることができる。
電車のなかでスマホの小さな画面に夢中になっている人たちを横目に、自分はドア付近の隅っこに身体を少し預け外を眺めているのが好きで。
こんなことを書くと自分もオジサンだなって思うけど、スマホ画面の中に「あぁ、なんだか気持ちいい景色だなぁ」とか「ゆっくりした時間だなぁ」は無い。
小さな画面の向こうばかり眺めず、今こそのんびり外を散歩すべきだ。と、誰に言うわけでもなし。自分は自身に対してそう思っている。
気持ちのよい景色、楽しい時間はいつだって自分のすぐ傍にあるんだ。