2018/02/15
お宿ちとせにて、6時半起床。
朝食を頂きいてから朝風呂に浸かる。日本人に生まれて良かったと思える瞬間でもあり、出発前から身体も頭もスッキリ。
宿部屋の窓からは八幡平の山々が見える。けっこう晴れ晴れとしているし、これならさぞかし気持ちの良い「雪の回廊」を眺めつつ走ることができるだろう。
この時点では、そんな期待しかしていなかった。そう、この時点までは・・・
山の天気を、なめちゃぁいけない
お宿ちとせのチェックアウト手続き後、女将さんにお見送り頂く。
女将さん、なんとご自身もバイクに乗っているとのこと。記憶が正しければ確かVT400に乗っていると仰っていました。なんて渋い女将さんなのだろう・・・。
また泊まりに来ます、とだけ伝えると「日本2周くらいしてからでイイよ」と、ひと言。日本一周する予定はないけれど、また東北に訪れることがあれば「お宿ちとせ」に泊まらせて頂きますね。
お宿のある鹿角市から八幡平アスピーテラインまでは、1時間とちょっと。
天気も良く、道も空いているのですんなり着けるだろうと思っていた。
国道341号を途中で左折し、23号線「アスピーテライン」に入る。この辺りから次第に山道を登っていくことになるのだけれど、途中から雨が降り始め、途中からみぞれに変わり、最終的には雪になりました。
気温も一気に下がり、グリップを握っている両手が寒さで痛くなってくる。あらかじめレインスーツ着こんで寒さ対策はバッチリだったので、身体はそこまで冷えていないけれども、雪のため極めて視界が悪くなってくる。
それに加えて、この外気温では路面が凍結し始めていてもおかしくはないので慎重に、慎重に上っていく。
いやいや、これはさすがにチョット辛いぞ?と思いながら走っているところで、ちょうど対向車のトライアンフはタイガー乗りさんが、すれ違い様、胸前で人差し指を左右に振るサイン。
明らかに、ライダー同士の軽い挨拶「ヤエー」ではない仕草である笑
それに気づいて、すれ違ってから速度を落として停車。
後ろを振り返ると、タイガー乗りさんも停車してくれているので、すかさずUターンして横付けしにいきます。「頂上から降りてきたけど、この先の雪はひどい。行ったら帰ってこれんくなるよ。」と教えて頂きました。
う、う~ん・・・このアドバイスには正直、ちょっとのあいだ迷った。
でも、同じライダーさんが言ってくれる言葉である。しかもタイガーである。タイガー乗りさんが危険というくらいなのだから、FTRならもっと危険だろう笑
ここで無理して頂上を目指すタイミングではないのかな。そう判断し、途中にあった休憩所まで戻ることに。
このあと、休憩所からさらに下ったところにある「八幡平ビジターセンター」まで戻ります。
ビジターセンターに着くと、ちょうど係の方が天候情報用のホワイトボードに「頂上付近=雪」と書いているところでした。
これからの天候について伺ってみると「おそらく今日は、ずっとこんな感じ。もしかすると昼には通行止めにするという話も出ている。」とのこと。
やはり、ここは無理してまで目指すべきじゃないかな。と思い改め、アスピーテラインの入り口まで戻ることにしたのでした。
田沢湖ルートか、鹿角ルートを戻るかで悩む
アスピーテライン(国道23号)の入り口まで戻ったあとは、341号を南下して田沢湖経由、もしくは鹿角市周辺までぐるっと戻り、282号経由で盛岡方面へ向かうかで悩む。
本来であれば、八幡平を越えて盛岡を目指す青線ルートだったのですが、赤線のどちらか迂回ルートを選択しなければならないということに、この時点になって気づきました。
八幡平を越えていく道に比べ、どちらも結構なタイムロスになってしまう。
当初は、来た道を戻るくらいなら田沢湖経由で向かう!と思い、少しだけ進んでみたけれど、しばらく山道が続く。ついでに、FTRのエンジンも寒さでちょっとだけグズり気味だったことが心配だったので、やむなく鹿角市内方面まで戻っていくルートにしました。
最終的には、いかにも雪国!のような天候に。
5月の景色とは思えないし、山付近の天気は本当にあっという間に変わるんだなぁということを実感した日でした。
このあとは、ひたすら石巻経由の仙台を目指しました
このあと、ひたすら走り続けちゃいました。
本当はアスピーテラインの雪の回廊バックに写真を1枚とか、GEOCOLORというお店で八幡平地熱蒸気を使った「地熱染め」というキレイな染色布をお土産に買って帰るとか。
あわよくば盛岡で「わんこそば」に挑戦して、わんこそば100杯証明札を頂いて帰ろうとか。
色々詰め込もうと考えていたのだけれど、引き返して迂回することになった時点で、すべてスルーして南下することにしたのでした。
何故ならこの日は、職場がいっしょのおっちゃん実家がある仙台市に泊まらせてもらい「夕飯をいっしょに食べに、市内へ繰り出す」というイベントがあったから。
本日のメインイベントに遅れることがあってはならない!という気持ちで、ほんと、ただただ走り続けた1日になってしまいました。
仙台到着後の「地雷也」さんで、人生初ホヤ
仙台市にある、職場おっちゃんの家に着いたのは18時半頃。
到着して30分も経っていなかったと思う。ホレ、行くぞ!って、夕食に出かけることに。
市内中心地にあるお店に行くというコトで「どうやって行くんですか?」と聞けば、バスだと言う。
えぇぇ、散々走ってきたあと、今からさらにバス移動!?と思ったけれど、まぁ仕方ありません。
今回の東北めぐりは電車もバスも活用する旅となり、これはこれで良い思い出です。そして向かった先のお店は仙台市青葉区国分町にある「地雷也」というお店でした。
「昭和38年創業、新鮮な宮城の味を昔ながらの炭火焼きで味わる場所」
と謳われていますが、確かに食べるもの全部が美味しかった。
特に、初めて食べたホヤの味は今までに味わったことのない海の幸の、味。一口食べた瞬間に甘酸っぱさが口の中に広がり、「海のパイナップル」と言われている由縁も何となく分かります。
地雷也で飲んでいる最中、職場おっちゃんは「おめえ、よく来たなぁ」などと決して言わない。
自分も、ここに来るまでの東北巡りのことを必要以上に言わない。
仕事終わりに、ちょっと飲み行くか。という日と同じような感覚で食べて、呑む。
ただただ2人で、ただただよく笑い、よく呑みました。
ここでもしも「今こうして、仙台でも一緒に飲んでるなんてネ。なんだか意外ですネ。」なんてヒトコトでも、ついぽろっと言ってしまったら、きっと全てが白々しくなってしまうことをお互い分かっているのかもしれませんネ。
何となくはそう感じていても、あえて言葉にする必要が無いこともあるのだ。ということを本当に理解するようになったのは、つい最近のような気もします。そう、日常生活でも非日常生活でも、言いたくなってしまうことを時にはぐっと飲み込んでおいたほうが良いことがよいことがあるものなんだ、ナ。
東北巡りのツーリング旅をすることを告げた時、だったら仙台に泊まっていくか?と言ってもらったヒトコトから、この日、仙台での夜があったことに感謝です。
2019年5月2日のルート
走行距離:375kmと、東北巡りで最も長距離を走り続けた日。
その代わり、ほぼ寄り道もなかった1日でした。石巻漁港の魚市場でランチを、と思い立ち寄ってみたけれど、着くころには既に営業が終了してしまっていた。
この日、最も悔やまれるのはやはり「八幡平アスピーテラインの、雪の回廊」を諦めてしまったこと。
ただ、ちょっとくらい名残りあるほうが、次にまた東北へ行く楽しみとモチベーションにもなる。いつかまた東北を走りに行く、やはり春になるだろうか。