2018/02/15
山梨県は石和温泉駅の街並みと、都心からそこに向かうまでの道のりが何より大好きだ。
まず特急あずさに乗って向かう車窓から見る風景が、都心を離れるにつれ次第に「山あり田園あり」の緑豊かな風景になっていくのがタマラナイ。
この「次第に」が、たぶん大切なポイントなんじゃないかと思っている。
もちろん、いきなりパッと風景が切り替わる旅路に今まで出会ったことは無いけれど、新宿から石和に向かう風景の変化は特に好き。
じわっ、じわっと緑豊かになっていくのを眺めていると、同じく「じわっ、じわっと旅気分」になっていく感じ。
行きはそれで良いものの、帰りも同じようにじわっ、じわっと灰色一色になっていくから「じわっ、じわっと現実」に戻されるんですけどネ。
あ、これは特急あずさから眺める風景の話だから、そもそも都道府県バイクめぐりの話にならないか。
石和が好きだし、まぁいいか・・・
石和温泉は、ひなびた温泉街?そんなことはない
石和温泉はきっと、バブルと言われていた時期に栄えていた温泉街ではないだろうか。どこかそういう雰囲気が漂い、今もそれが微かに残り続けている温泉街のように感じる。
ナンでそんなことが分かるのか?って、社員旅行だけでもこれまでに4回は訪れた街なので何となく。
そのうちの2回は、自ら石和温泉を希望しての社員旅行。なんだかもう一度行ってみたくなる魅力が、石和温泉にはある。
どこがそんなに魅力的なのかを挙げるとなると「ココなのだ!」とはっきり言えるものは、ない。
- 駅前に、足湯がある
- 駅から温泉宿に続く道に川がある
- 宿のみなさん、おおむねフレンドリー
- とにかく静かだ
強いていえばこのような感じだろうか。
石和温泉駅を降りると、駅を出て右手に足湯がある。これがお気に入りで、帰りの電車まで時間があると必ず浸かるようにしている。
駅前に、誰でも使える足湯があるというだけで何だかイイ。場所はまったく違うけど、北海道の摩周駅にも同じように足湯があった。摩周駅でも同じように足湯に浸かったけれど、あの時は「これからドコ向かおう・・・」なんて寒さと疲れで、なんだか記憶は薄い。
そしてロータリー脇から、宿がいくつか集中している方面まで、ずーっと長く続く小さな川がある。
意図的に「じゃぶじゃぶ」言わせるためだろうか、ところどころ川の流れを変えるための段差が設けられたりもする人工的に整備された川だ。この川沿いを歩いて宿に向かうまでの雰囲気がイイ。
そう。石和温泉の何が好きかって、きっとすごく静かなところが気に入っているんだと思う。
温泉の街だからといって、やたらと混んでいる場所がないのである。
駅前のお土産屋さんもイオンも。泊まる宿も、もちろん他にも宿泊される方もいらっしゃるけど、みなさん基本的に騒がしくない。
どこか街全体が落ち着いているのだ。
ほうとうは、鍋なのか麺なのか問題
そんな山梨を代表する味といえば、ほうとう。
特に、ごろっとしたジャガイモなど野菜がたくさん入っているものがいい。かなりお腹が膨れてしまうのだけれど「ごろっと野菜」を摂ったという事実からか、食べ終わったあとの罪悪感があまりない。それに加えて山菜なんかも入っていたら、なお最高。
ここでひとつ気になったのが、はたして「ほうとう」は鍋なのか、麺なのか。
なんか今日、麺類食べたくない?そば?うどん?それとも、ほうとう?
って聞いたことがないから、きっと麺ではないんだと思う。
現にラーメンや蕎麦、うどんは全国区で一般的になり、チェーン店だっていくつもあるのに。
ほうとうチェーン店というものは聞いたことがない。
やはり麺類と捉えられていない証ではないか。
あと「寒くなってきたし、今夜は鍋にしようか母さん。」「いや、ほうとうにしましょうよ。」っていうのも聞いたことがない。
(おひとり用鍋もあるけども)鍋の定義のひとつが「みんなでつっつく」というものだとしたら。今まで食べてきたほうとうは全てひとりに1つずつ、1人前が目の前に出される形だったからきっと鍋でもないんだと思っている。
このあたり、山梨県民の方にもお伺いしてみたい。
返ってくる言葉は「ほうとうは、ほうとうでしょ」のはずだというのことを、なんとなく薄々は感じている。
それくらい山梨では一般的な家庭料理として、自宅でも普通に出てくるのではないだろうか。
これも勝手なイメージだけど、育ちざかりの中高生がいる家庭で「お母さん、今日の夜ご飯なに?」「ほうとうよ~」「えーまたぁ!?」って、絶対あると思ってる。
いや、むしろほうとうって、そうあってほしい。
博多から全国区になったラーメン店に「一風堂」というお店がある。
創業者の河原成美という方は「ずずっとすする麺の美味しさを世界に発信していきたい」という想いを創業時代から抱き続けている、というような記事を読んだことがあります。
ずずっとすする麺の美味しさ、そこの加えてごろっと野菜でビタミン類も豊富に摂取できる感なら、ラーメンよりもほうとうに分があるのではないだろうか。
いつかほうとうも、そんな風に世界へとはばたいていく時代が来るだろうか。
ほったらかし温泉も、また楽し
ほったらかし温泉の名前が知れ渡るようになったのは、いつ頃からだろう。
雑誌などのメディアで何度かその名を見かけるようになり、社員旅行時にレンタカーで行ってみたのが確か2016年ごろ。
晴れた日には甲府市内を見下ろす絶景らしいのだけど、初入浴の日はあいにくの雨だった。(特に、夜は夜景もキレイに見ることができるよう。)
ただ、小雨降るなかで浸かるほったらかし温泉の雰囲気もなかなか風情があってよろし。
露天風呂は小雨か、雪がチラホラと降るなかで入るのが最も楽しい。
そんなほったらかし温泉、温泉とは別にキャンプ場も併設されている。温泉と同じく、キャンプ場からも甲府市内を見下ろせる絶景のロケーションのようでいつか行ってみよう。そんなふうに思い続け、もう数年経ってしまっている。
あまり人気になり過ぎると、何となくためらってしまうのは昔からの性分なのでこればかりは仕方ない・・・
甲府市内から富士山方面へ下る、113号線も気持ち良い
今年の長野ツーリング帰りに初めて走った、甲府市街から静岡方面へと向かう国道113号線はとても気持ちの良い道だった。
信号待ちではヘルメットの中、おでこから汗がしたたり落ちてくるほど暑かった甲府市内。113号を登っては下り、下っては登りを繰り返して静岡方面へと向かう道は道中ところどころ前が詰まりはするものの、緑のなかを走る道はやっぱり気持ちが良いもの。
そんな113号線を下り、朝霧高原ドライブイン「もちや」に休憩で立ち寄った時のこと。※ドライブイン「もちや」は静岡県。
バイクを停めた駐車場の2つとなりで、黒のラブラドールレトリバーを2頭連れ和気あいあいと楽しそうにしていらっしゃる年配のご夫婦がいた。
黒ラブのうちの1頭はとてもやんちゃ盛りのようで、駐車スペースでおじさん達に遊んでもらっていた。
犬好きなことと、旅先となると何故か自然にそうすることができるのとが合わさって、黒ラブ撫で撫でさせてもらうついでに、おじさん達と立ち話に。
バイク話にもなったりして「俺も昔はカブで北海道に行ったよ」と聞かせてもらったり。
ドライブインの一角にある屋台を指さして「普段はあそこで餅焼いてるから、今度食べてよ。」って言われたり。
そんな話にとてもほっこりしたけど、何よりも驚いたのが一緒に立ち話をしていた女性のかたを「前妻なんだよ」って紹介された時だった。
ご夫婦と思っていた前妻のかたも「そうなのよ~昔からこの人、思いつきばっかりなの。うふふ。」なんて言ってる。
いや、うふふで良いんですか。うふふで・・・
それじゃあ、助手席に座ってスマホを弄っている「そろそろ帰ろうか」なんて話していた方が現妻?
車外で犬を挟んで楽しそうに過ごしているおふたりが前夫、前妻で。車内の助手席に座りっぱなしの方が現妻!?
途中から「???」ばっかりな感じだったけど、心の広さがある人って、きっとこういう人たちのことを言うんだろうなぁ。
このことを思い返しながら書いていて、ふと思った。
ドライブインもちやの屋台で餅を焼いていると言っていたおじさんは、もしやドライブインのオーナーさんだったのではないだろうか。